こんにちは。ライフ盛岡スタッフです。
岩手県盛岡市内丸にある「盛岡地方裁判所」。
その構内にある、巨大な岩の割れ目から育った
樹齢360年(正確には不明)を超える桜があります。
これこそが岩手県民には知らない者がいないほど有名な
石割桜(いしわりざくら)です。
「石割桜こそ日本一の名桜」と、お国自慢の対象として真っ先に挙がるほど
地元で愛される樹木で、盛岡駅から徒歩15分ほどの中心街にあります。
家老の屋敷内の庭にあった巨石が落雷を受けた割れ目に
桜の種子が入り込み成長したという伝承も残っているそうです。
1923年には国の天然記念物に指定されています。
昭和7年9月2日、この石割桜が災難に遭います。
裁判所が火事に遭い、石割桜も消失の危機に瀕しました。
そのピンチを救った方が、庭師の藤村治太郎さんです。
地元の消防団員でもあったため、いの一番に裁判所に駆けつけました。
「このままでは、石割桜に火が回って焼失してしまう。」と思い、
咄嗟に自ら着ていた半纏を水で浸し、必死で放水をする他の消防団員と声を掛けながら、
桜に火が回るのを身を挺して延焼を防いだそうです。
無事消火には成功しましたが、裁判所寄りの幹と枝は瀕死の状態でした。
この時、藤村さん自身も負傷し、歯を数本失う怪我を負っていました。
藤村さんは、何とか石割桜をを救おうと、
石の割れ目から肥料を与え、火災によって裂けてしまった幹の部分には、
雨による腐食が進まぬよう、粘土を詰めるなどあらゆる手を尽くし看病しました。
その甲斐もあり、今でも石割桜は毎年元気に咲き誇り、私達の目を楽しませてくれています。
藤村さんの造園会社「有限会社豊香園」は、
現在もなお、石割桜の桜守を無償で続けています。
「石割桜は、岩手の宝…手入れをするのに絶対お金を頂戴してはならない」
生前藤村さんが残したこの言葉を守り続けています。
もうすぐ桜の季節です。
是非岩手の宝、ご覧にいらして下さい。